トランジスタは何者だ!
トランジスタは何をしているのでしょう。
 トランジスタはダイオードと同じ半導体の仲間です。またトランジスタにもいろいろと種類があり動作も異なります。キットの中では「必ず」と言うほど使用されています。基本は三本足の増幅が役割で昔の三極管(真空管)の次世代パーツです。
この部品はキットにも含まれている可能性が高いので何をしているか調べて見ましょう。
トランジスタにはたくさんの種類と極性がありますのでキットでは説明書をシッカリ読み組み立ててください。
☆ 目次 ☆ トランジスタの仕事は何だろう!
トランジスタとは?
 トランジスタの概要を説明します。キットでも結構使います。
トランジスタの家族は大家族。
 トランジスタの家族もいろいろありますので、その辺を調べてみましょう。
半導体には登録制の型番(名前)があります。
 半導体の型番はどんなのあります。
半導体の外形って決まっていますか?
 半導体にも外形は、ある程度決まりがありますので調べてみましょう。
現在のトランジスタ界のスーパーマンです。
 今の代表選手シリコン・トランジスタ。
トランジスタの仲間シリーズ
 トランジスタの起源、ゲルマニウム・トランジスタ。
トランジスタの仲間シリーズ
 FET(電界効果トランジスタ)とは?
トランジスタの仲間シリーズ
 SCR(サイリスタ)は半導体スイッチ?
トランジスタの仲間シリーズ
 トライアックは交流スイッチ?
トランジスタの仲間シリーズ
 ダイアックって聞いたことないよ!
トランジスタの仲間シリーズ
 昔の発振回路では定番!


☆コラム☆
 トランジスタの誕生を簡単に! (豆知識程度に)
☆コラム☆
 半導体の簡単な原理を…でもチョット難しいかも (これも豆知識程度)
☆コラム☆
 トランジスタと真空管はどちらが良いでしょう。 (それぞれの特徴しだい)
トランジスタ  トランジスタは何だろう?
■ トランジスタの仕事は!! ■
 トランジスタは回路内では主役で実際は、いったい何をしているのでしょうか?
トランジスタは通常3本足でベース(B)、コレクタ(C)、エミッタ(E)がその足の名称です。ベースに微少電流(電圧)を加えるとコレクタ、エミッタに増幅されて電流として出力されるのが標準的使い方です。語源は「transmit(トランスミット)」と、「resister(レジスタ)」を合わせて「トランジスタ」と呼ばれ、和訳すると「信号を伝える抵抗器」という意味でしょうか。英語で「transistor(トランジスタ)」と書き、記号として頭文字をとり「Tr」や「Q」などと書きます。そしてトランジスタは2種類の「NPN」と「PNP」に分かれまた型番が決まっていて「2SAxxx」、「2SBxxx」は「PNP」の仲間で「2SCxxx」、「2SDxxx」は「NPN」の仲間で全部で四種類あります。
■ トランジスタてなあに? ■
 今までは抵抗、コンデンサ、インダクタ(コイル)などの部品を学びましたが、この部品は増幅作用がありません。しかし、トランジスタ(真空管も)チョット違った動作つまり増幅作用があり回路の中では主役的存在です。そのため前者は(抵抗、コンデンサ、インダクタ)関係の部品を受動部品といい、後者の増幅作用を持ったトランジスタ(真空管)などは能動部品と呼ばれているそうです。
 トランジスタには大まかに「BJT」と「FET」の2種類に分かれますが通常「BJT」をトランジスタと呼びます、またトランジスタの中にも2種類に別れ「PNP」と「NPN」(ダイオードはPNですよね)があります。もちろんこの他にもいろいろな種類がありますのでその辺の違いなどを調べてみましょう。


■ トランジスタは増幅で力持ち!! ■

 トランジスタは小さい信号を大きな信号に変換する増幅と言う働きがあります。2SCタイプではベース_エミッタ間に微少電流を入力するとコレクタ-エミッタ間に増幅された電流が出力されるまさに小さな信号で大きな物を動かすことも出来る力持ちです。
● 増幅とは?
 チョット難しいお話になりますがトランジスタの仕事は増幅ですが増幅は何をするのでしょうか、NPN型で見てみましょう。
・ベースに流れる電流をベース電流といい「Ib」とし、コレクタに流れる電流をコレクタ電流といい「Ic]とし、エミッタに流れる電流をエミッタ電流といい「Ie」と示すます。またトランジスタの増幅する度合いを示す数字で「hfe」と表し増幅率といいます。
 上記の書式であるトランジスタにIbを加えるとIcに「Ib x hfe」分の電流が流れます。このことから増幅率(hfe)の乗数分に増えると言うことが増幅といいます。動作はいたって簡単ですが各電流の設定(抵抗などで設計する)がチョット難しいかも知れませんね。
例題・・・hfeが200のトランジスタがありました、そこに1mAのベース電流を流すと200mAのコレクター電流が流れます。
      (ただし損失があるので実際はそれより小さくなるでしょう。)
トランジスタの種類  トランジスタに種類はどんなのあるのかな?
■ トランジスタてなあに? ■
 トランジスタの記号はそれぞれ違いますので各項目の場所で説明します。トランジスタについては、もうお話ししましたので、ここでは種類について学びましょう。トランジスタはまず2種類の分かれ、それが「BJT」と「FET」でBJTはトランジスタのことです。そのトランジスタも「PNP」と「NPN」の2種類に分かれます。その他に変わり種としてサイリスタがあります。
 キットではトランジスタはよく使うと思いますので簡単な説明をしていきましょう。標準的な物としては黒のプラスチック製で半円形で平らな所に型番が書いてあります。でもいろいろな形がありますので注意して下さい。
 トランジスタの仲間もこれまたたくさんありますが種類で動作が全く違いますので、それぞれの特徴をなどを確認しましょう。種類ごとで型番が決まっていますし同じ種類であっても大きさや形状が全然違いますのでその辺もかさねて見ていきましょう。
■ トランジスタの兄弟 ■
 人間の兄弟でも個人差がるように半導体であるトランジスタもいろいろな種類があります。簡単にトランジスタ、FET、サイリスタ、トライアック、UJTなど聞き慣れない名前もありますが、それぞれ動作に違いがありますので注意して下さい。
 実際にトランジスタの仲間は思ったより種類がありますがキットで使われうるトランジスタの仲間があれば比較してみて下さい。3本足ですのでわかりやすいと思います。(普通はトランジスタが主ですが、3本足でもトランジスタの仲間と違う物がありますので良く説明書を読んでみて下さい)
■ トランジスタの一覧表 ■
 一覧表 種類ごとで特性や使用法が違います、それぞれ一覧にしてみましたので参考にして下さい。
種類名 用 途 特  徴
シリコン
 トランジスタ
 トランジスタはいくらIC化になっても電化製品のどこかに潜んでいるかも知れないぐらいいまだに使われています。  トランジスタは電源回路、増幅回路、高周波、低周波何でもOKの優れものです。ただし小型化などでリニアIC、OPアンプなどに置き換わっているのが現状です。
ゲルマニウム
 トランジスタ
 シリコントランジスタが誕生する前はこの部品が代表でした。  増幅など原理的にはシリコントランジスタと同じですが熱に弱いのでだんだん減っていきました。
FET  FETもトランジスタとは違い入力インピダンスが高いので入力系などやパワーアンプなどに使用されます。  入力インピダンスが高いので高インピダンス入力アンプや真空管に特性が似ているのでパワーアンプなどにも使用されている。
サイリスタ  大電流のON/OFFなどで電化製品には結構使われています。  一度オンすると電源を切らない限り流れ続ける変わったトランジスタです。
トライアック  光を自由に調光ならおまかせのチョット変わった部品です。  サイリスタが逆向きに抱き合わさってできた部品です。交流のON/OFFをリアルタイムで可変出来る部品です。
UJT・PUT  パルス発信器専用のトランジスタです。  両方ともパルスを発信させるのが得意です。
半導体の型番  半導体には登録制の型番があります
■ 半導体の型番 ■
 トランジスタの型番には決まりがあります。この規格は日本のみ有効です「EIAJ(日本電子機械工業会)」に登録することで型番が登録されます。どのように種類が分かれているか見てみましょう。もし次の型番のトランジスタがあるとした場合「2SC9999A−GR」で見てみましょう。
 でも最近の型番で下記の型番に準じていない物がありますがこれは登録しないで各企業の独自番号で製造した部品もあります。
 もし「2SC9999A−GR」というトランジスタがあったら、その型番の意味はこんな感じです。

SC9999A−GR の最初の「2」はトランジスタの種類です
  ・・・ フォト・トランジスタ、フォト・ダイオード
  ・・・ 各種ダイオード、整流器
  ・・・ トランジスタ、FET(1ゲート)SCR,UJT
  ・・・ FET(2ゲート)
● C9999A−GR の2文字目の「S」はSemiconductorの頭文字で半導体の意味で固定です。
● 2S9999A−GR の3文字目の「C」はトランジスタの細かな種類です。
  ・・・ PNPタイプの高周波向けのトランジスタ (2SAタイプ)
  ・・・ PNPタイプの低周波向けのトランジスタ (2SBタイプ)
  ・・・ NPNタイプの高周波向けのトランジスタ (2SCタイプ)
  ・・・ NPNタイプの低周波向けのトランジスタ (2SDタイプ)
  ・・・ SCR、PNPゲート          (2SFタイプ)
  ・・・ SCR、NPNゲート          (2SGタイプ)
  ・・・ UJT                 (2SHタイプ)
  ・・・ FET、Pチャンネル          (2SJタイプ)
  ・・・ FET、Nチャンネル          (2SKタイプ/3SKタイプ)
  ・・・ SSS                 (2SMタイプ)
● 2SC9999A−GR の4文字目からの数字である「9999」はトランジスタの登録番号です。
● 2SC9999−GR の4文字目以降の英字は無記名から始まる改良番号です。
● 2SC9999A−GR の最後の文字は増幅率(hfe)のランク分けです。
   ・・・  70〜140のhfeです。
   ・・・ 120〜240のhfeです。
 GR ・・・ 200〜400のhfeです。
 BL ・・・ 300〜700のhreです。


※3文字目のトランジスタの区分について ・・・ 参考資料:CQ出版社のトランジスタ規格表より 「2011/03/03追記」
●ブログにて「2SCは低周波ではないですか」と言う問い合わせが来ましたので追記します。
 規格自体はAとCは高周波向けでBとDは低周波向けと区分しているようですが実際には規格上の区分は不明確な為に
型番自体はメーカーが推奨する区分で決めているようです。そのため2SCでも低周波の物が多数含まれています。
 ※良く聞く2SC1815を規格上調べると用途は「LF A」となっていました。つまり「低周波、オーディオ用で増幅用」となります。

○最近はハウスナンバーというメーカーオリジナルな型番もあります。
 これは規格にまだない商品などで主に2素子以上の複合型や抵抗内蔵タイプもこの部類に入ります。
 ※東芝では抵抗内蔵タイプのRNシリーズをよく見かけますね!(外付け抵抗がいらないので便利!)
半導体の外形  半導体には外観に決まりがあります。
■ 半導体の外形 ■
 トランジスタ関係はどのタイプでもある程度決められた大きさの外観があります。この決まりは「Joint Electron Device Engineering Council」の頭文字をとりJEDEC(ジェデック)で決められているそうですが、もちろん日本もこの規格に準拠しています。
■ TOシリーズ一覧表 ■
 トランジスタの規格表(データシート)などを見るとTO−3、TO−92、TO−220などの外見・寸法などの規格がありますのでよく使う物を参照してみましょう。
 最近は金属タイプが減り「TO−3」タイプも「TO−3P」へ移行されています。代表トランジスタも製造中止品もあります。
TOシリーズはこれ以外にも色々ありますがここでは代表的な型番を選択してみました。
外形型番 形状 特徴 代表トランジスタ名
TO−92 半円柱形の小型な形状で一番の標準品でこのタイプは豊富にあります。 2SC1815、2SC2120、K30Aなど
TO−92MOD TO−92を長くのばしたタイプ、TO−92タイプより若干パワーがあります。 2SC2500、2SC2655など
TO−220 上部に3oのビス穴があり放熱板に取り付けれます。基板を放熱板にする場合もあります。
注意・・・ネジ取り付け部分が金属とモールドとある
2SD560、2SD633など
TO−3 ハイパワー用で放熱も考えて金属パーケージでできているが穴が4ヶも必要なので簡単に取り付けられないため最近は減っている。専用の放熱板に取り付けることを前提に作られた物
注意・・・赤点は裏のピン配置。(表にはありません)
2SD118、2SD188、2N3055など
現在販売している物は少ない。
TO−3P ハイパワー用の用途に使用する、TO−3と比べ平面なので放熱板に取り付けるのが容易です。ケースに放熱も可能な平面型、別にフラットな形状もあります。
D2386など種類は豊富
ちょっぴり古い
  2SB56
 現在はもう無いゲルマニウム・トランジスタです。
EIAJ規格では「TB−1A」だそうです。
2SA468、2SB54,2SB56,2SB115などありゲルマニウムです。
ちょっぴり古い
  2SC372
 シリコン・トランジスタですが現在廃品種です。規格では無いようですスカートのような物が付いてます。また途中からTO−92に変わったようです。
 2SC370〜373、2SC380A、2SC732〜735、2SC1000など
■ トランジスタのピンについて ■
 トランジスタは3本足でできていますがそれぞれ意味がありますので間違えないようにしましょう。

<トランジスタの3本足について>
 トランジスタには通常足が3本ありますが回路図のどれに対応しているのか調べてみましょう。
キットでもよく使われている「2SA1015」と「2SC1815」を例にしてみましょう。

 図1でも解るとおり「A」タイプも「C」タイプも今回は同じです。(最近のトランジスタでこの形状の場合は足もほぼ同じなので覚えておくと便利です)
 回路図ではベース(B)が真ん中のように思えますが実物は向かって右側となりコレクタ(C)が実物の真ん中となります。
 但し基板に付ける時はシルクに合わせて付けるので間違えにくいでしょう。
<注意>
 回路図では通常Cタイプはエミッタ(E)が下側ですがAタイプの場合エミッターが上側に来るので図面と比較するとチョットややこしい所がありますので注意して下さい。
<基板に差す場合>
 トランジスタを基板に差す場合はそのままだと差せないので少し両サイドに広げてから差しましょう。向きは図2のように差した時に同じ形になるようにしましょう。
シリコン・トランジスタ  半導体の王様シリコン・トランジスタ!
■ シリコン・トランジスタ ■
 トランジスタには2種類有り「BJT」と「FET」があり通常のトランジスタはBJTを示します、トランジスタの記号は「PNP」(左図)と「NPN」(右図)の2種類あります。よく見るとエミッタの矢印が逆向きになっています、この矢印の向きが電流の流れる方向をさしています。
 シリコントランジスタは現在の主力トランジスタです。トランジスタが誕生した頃はゲルマニウムトランジスタでしたが弱点が多くシリコンに変わりました。また地球上の大地にはシリコンが豊富にあるのも理由の一つでしょう。その辺でますます需要が伸び代表格にまでなりました。当然ICのウエハーもシリコンで出来ていますのでトランジスタに止まらず広範囲で利用されています。

■ シリコンで丈夫に! ■
 ゲルマニウム時代が終わり、丈夫で熱に強く下手な半田付けでも安心なトランジスタがシリコントランジスタです。といっても限界がありますのであまり長時間の半田付けはやめましょう!
■ チョット見慣れた型番 ■
 キットで使うトランジスタで有名な物を昔の物から発掘してみましょう。
ゲルマニウム時代 ・2SB56,2SB100、2SB175
シリコン初期時代 ・2SC373、2SC375、2SD188
シリコン現在 ・2SC1815、2SC2120、2SC2655
ゲルマニウム  ゲルマニウムはもう骨董品?
■ ゲルマニウム・ダイオード ■
 トランジスタが誕生した時はこのゲルマニウム型が主流でしたが、これもダイオードと同じで現在はシリコンへ移行しました。ゲルマニウムはシリコンと違い地球上でもあまり少ないので貴重な金属です。
■ ゲルマニウム・トランジスタは宝石 ■
 ゲルマニウム・トランジスタが誕生した頃は大変高価な部品でした。最初は真空管の方が需要と供給の関係で安かった分がありますが、すぐにどんどん低価格になっていきますがやはり限界が生じました。つまり最初の頃はやはり高価なためトランジスタのケース自体も金属で作られていましたが価格が下がるにつれ低価格が実現できなくなりプラスチックへと移行されたのです。
■ ゲルマニウムの弱点 ■
 ゲルマニウムタイプには、どうしても弱点があり、その為にシリコンに変わった事もあります。
実はゲルマニウムは熱に弱いのです。これは決定的な弱点ですが何故でしょう・・・実際に80℃くらいで壊れてしまいます。あらら!そうしたら半田付けでさえも慎重に行わないと壊れてしまうと言うことですね! (これは大変でした半田が溶けるには180℃以上ないと駄目ですからね)
 熱に弱いため昔は放熱のためラジオペンチで挟み放熱しながら半田付けしたものですし、専用の放熱クリップまでありました。(現在も売られていますので初心者の方はどうぞ)
FET  FETはなあに?
■ FET ■
 FETは英語で「Field Eeffect Transistor」と書き日本語では電解効果トランジスタといいます。右記の記号を見てもわかるとおりトランジスタの一種ではあるが違うところもあるので見て下さい。またトランジスタと同じようにFETも同様にP型とN型の2種類がありますがゲートの矢印は電流の流れる方向でなく区別するためだそうです。
■ FETとトランジスタの違い ■
 FETはトランジスタとほぼ同じ外形の種類がありますので型番をしっかり見ておかないと間違えますので注意して下さい。また足の読み方も違いますがトランジスタとFETで比較しましょう。 (下記はトランジスタ → FETとなります)
● ベース(B) → ゲート(G)、コレクタ(C) → ドレイン(D)、エミッタ(E) → ソース(S)
 実際にトランジスタとは何が違うかと言うとトランジスタはベース電流を入力することで増幅しますがFETはゲート電圧により増幅すると言う違いがあります。つまりトランジスタは入力インピダンスが低いため電流型でFETは入力インピダンスが比較的高いので電圧型といえます。
 トランジスタはダイオードが2個で出来ている(NPN=NP+PN,PNP=PN+NP)ですがFETはPNだけで構成されています。ですのでドレインとソースが反対でも動作します。
■ MOS−FET ■
 FETの兄弟でMOS−FETというのがあり英語で「Metal Oxide Semiconductor FET」となります。日本語で説明すると構造が金属(Metal)−酸化皮膜(Oxide)の半導体ということですが、つまりゲートが金属と半導体の間に酸化皮膜の絶縁体が挟まっているものです。説明するとよけい解らなくなりますね!
■ MOS−FETはハイ・インピダンス ■
 FET自体も入力インピダンスは高い(108〜1012Ω)のですが、さらにインピダンスを高くした(1012〜1014Ω)ものがMOS−FETとなります。このインピダンスの高さが弱点にもなる、つまり入力インピダンスがすごく高いのでチョットした静電気でも壊れてしまいます。
 ロジックICにもC−MOSがありますがFETにもMOSがあります。まあ実際には、これが元で他の物が出来たのかも知れませんね。MOS−FETはFETよりもっとインピーダンスが高い部品です。
 でも何にするのだろう最近ではオン抵抗がすごく小さい特性があるので電子スイッチの変わりに使われたりしています。
サイリスタ  サイリスタはなあに?
■ サイリスタはスイッチ? ■
 それではサイリスタは記号では右記のように書きますがよく見るとダイオードにヒゲが生えたような記号ですね。実際に電子スイッチですが身の回りでも結構使われているようです。サイリスタの構造は「PNPN」という構造で最初から3番目の「P]にゲートが付いています。
■ サイリスタとSCRはどっち? ■
 元々は「SCR」と「サイリスタ」と2種類の名前がありましたが現在は統一するためIECの規格により「サイリスタ」となりました。「SCR」はGE社が作り「SiliconControlledRectifier(シリコン制御整流素子)」の頭文字より「SCR」と名付け一方「サイリスタ」はRCA社からサイラトロンという放電管に動作が似ていて、それにトランジスタの名前をドッキングしサイリスタとなったようです。
■ サイリスタはスイッチ? ■
 日本語で「シリコン制御整流素子」ですがチョット解りづらいのでチョット言い換えて「制御端子付きのシリコン・ダイオード」となりON/OFFのコントロールできるダイオードと思って下さい。と言うことでもう少し解りやすく言うとトランジスタはベース電流に応じて増幅しますがサイリスタは増幅でなくON/OFFのどちらかでコントロールするダイオードです。ON/OFFのため損失が少なく小型で大電流な部品となります。リレーという部品がありますが、これは部品は駆動系と接点があるため寿命が短いという弱点がありますがサイリスタは半導体ですので最大定格さえ守れば高寿命ですが直流専用。あまり知られていませんが家電での使用用途は多いようです。
 サイリスタはダイオード型のスイッチですので片方向にのみ流れるタイプです、そのため交流には適していません。
この部品はキットでの使用は少ないようです。
■ サイリスタはスイッチ? ■
 日本語で「シリコン制御整流素子」ですがチョット解りづらいのでチョット言い換えて「制御端子付きのシリコン・ダイオード」となりON/OFFのコントロールできるダイオードと思って下さい。と言うことでもう少し解りやすく言うとトランジスタはベース電流に応じて増幅しますがサイリスタは増幅でなくON/OFFのどちらかでコントロールするダイオードです。ON/OFFのため損失が少なく小型で大電流な部品となります。リレーという部品がありますが、これは部品は駆動系と接点があるため寿命が短いという弱点がありますがサイリスタは半導体ですので最大定格さえ守れば高寿命ですが直流専用。あまり知られていませんが家電での使用用途は多いようです。
 サイリスタはダイオード型のスイッチですので片方向にのみ流れるタイプです、そのため交流には適していません。
この部品はキットでの使用は少ないようです。
■ サイリスタの動作 ■
 サイリスタはどのような動きをするか調べてみましょう。
 図のような回路を組んだ場合に電源を入れても動作しませんがゲートのプッシュボタンを押すと一時的に電流が流れA−K間に電流が流れLEDが点灯します。この状態でプッシュボタンを放してもLEDとしてみましは付いたままです。「へ〜」どうしてなの、これはサイリスタの特徴で一度電流が流れ出すともう止まりません。このLEDを消灯したい場合は電源を切るしかありません。
 結論からすると電源を入れるだけではONにならず、一時的にゲートに電流が流れるとONになりゲートに電流が流れなくしてもOFFにはならないということです。但しOFFにするにはA−Kに流れている電流を遮断しない限り止まりません。
■ スイッチを川の流れに例えて見ましょう ■
 日本語で説明してもわかりにくいのでサイリスタを模型的に説明しましょう。
薄水色 これはメインの弁で順方向にしか開かないよ!
でもサブ弁が支え棒になって簡単には開かないしくみだよ
2 水色 これはサブ弁でメインの弁の支え棒でになって、ある条件の時にこの支え棒が外れるよ
サブ弁はG(ゲート)に電圧をかけると「誘い水」のように流れメイン弁の支え棒が外れます。
3 赤線 表現できなかったので線のようになっていますがこれはサブ弁を押し戻すバネですよ!
サブ弁はメイン弁が作動するとG(ゲート)の電圧がなくなってもA→Gの流れで戻りません。(流れっぱなしです)
A→Kの流れが止まりG(ゲート)に電圧がなくなるとバネの作用でサブ弁が元に戻りメイン弁が外れなくなります。

サイリスタに順方向で電圧をかけた場合 サイリスタに逆方向で電圧をかけた場合 サイリスタに順方向で電圧をかけた場合

ゲートにも電圧を加えた場合
 順方向に電圧がかけられていてもメイン弁(薄水色)がサブ弁(水色)に邪魔されて開かないので動作せず川の流れはせき止められています  当然ダイオードの働きをしていますのでメイン弁(薄水色)が逆方向には開かないようストッパーが付いていますので川の流れはせき止められています。  そこでG(ゲート)に電圧をかけるとサブ弁(水色)が押されロックが解除されメイン弁(薄水色)が開き川の流れは一気に流れます。
 しかも一回流れたらもう止まりません、止めるにはA−K間の流れを遮断すると止まります。
■ サイリスタの仲間たち ■
 サイリスタの仲間には次の物があります。あまり聞き慣れないので参考にどうぞ!
名 前 構造、特徴の説明
サイリスタ 「PNPN」構造で最初から3番目の「P」にゲートが付くもの
トライアック 「NPNPN」の5層構造で最初から最後の「N」が二つに分かれ片方がゲートとなる
SCS 「PNPN」構造で最初から3番目の「P」にゲート1が付き2番目の「N」にゲート2が付く4本足
 サイリスタやトライアックのトリガーをかけることを専門の素子がありますが、これがトリガー素子と言います。一覧にしてみました。ただし最近はどれも製造中止が目立ちあまり見ることはないでしょう。
PUT 「PNPN」構造で最初から2番目の「N]にゲートが付くもの
(単方向、3端子タイプ)
UJT 「PNPN」構造で最初から2番目の「N]にゲートが付くもの
(単方向、3端子タイプ)
ショックレー・ダイオード 「PNPN」構造でにゲートを省いた物で2本足、どこかで聞いたことのある名前ですね。
(単方向、2端子タイプ)
SSS サイダックと呼び「NPNPN」の5層構造でゲートが無い2本足の物
(双方向、3端子タイプ)
ダイアック Diac>と呼び「NPN」のトランジスタのベースがない構造で2本足です
(単方向、2端子タイプ)
トライアック  トライアックはなあに?
■ トライアック ■
 トライアックは右記の記号を見るとサイリスタが正・逆に2個付いていてゲートが1本になった感じですね。このことからサイリスタの兄弟となりますね。トライアック(TRIAC)は英語で「Triode AC Switch」(IEC認定)と呼び文字を合成し「TriAC」となったようです日本語にすると「3端子交流スイッチ」となり、日本語でもわかりますが交流用スイッチである素子です。またIEC認定の名前よりトライアックの方が有名になり現在はトライアックが一般的名称になったそうです。
■ トライアックもスイッチ? ■
 基本的にサイリスタは動作的には同じです。ただしサイリスタと違い双方向にダイオードが付いていますので交流専用のサイリスタとなります。こちらの方がリレーと似た動きが出来ますかな。このことによりサイリスタよりも電化製品に広く使用されています。またキットでは電球などの調光用のキットにダイアックと共に使用されています。
ダイアック  ダイアックはなあに?
■ ダイアック ■
 このダイアックは右記の記号を見るとトライアックにゲートが無くなった感じですがが、これで何が出来るのでしょうか?
トリガ・ダイオードとも呼ばれ「Diac(ダイアック)」は「Diode」+「AC(交流)」の2文字を合成した物です。
■ トライアック用スイッチ ■
 サイリスタやトライアックはトリガ信号が無ければ作動しません。トライアックの場合交流の電源をON/OFFしますので、どうせなら交流の0Vの時に同期させてON/OFFすることによりノイズが少ないON/OFFが可能です。このことを「ゼロクロス」と呼びます。
 ダイアックはその0Vを検出するのに便利で抵抗とコンデンサで時間にズレをトリガとしてトライアックに送り調光することができます。これを利用してランプの調光をしています。トライアックでも書きましたがキットでは電球などの調光用のキットにトライアックと共に使用されています。
UJT・PUT  UJTとPUTはパルス発信が得意!!
■ UJT ■
 UJTは記号で右記のように表現され、英語では「Uni−Junction Transistor」と書き日本語では単接続トランジスタと呼びます。
これも最近はあまり聞かれなくなりましたが発振器を作る場合簡単な部品で製作できるので、昔は電子工作でよく使われていました。記号を見るとエミッタとベースとなっていますがトランジスタの端子とは全く意味が違います。
■ PUT ■
 この他にPUTというサイリスタの仲間がありますがこれは「Programmable Uni−Juction Transistor」の略です。これも外付け抵抗の選び方で自由にプログラム出来ることでこの名前が付いたようです。
■ ともに発信が得意 ■
 UJTとPUTは同じ機能の発振器です。若干回路は変えなければなりませんがともに発振器が作れる部品です。ただし現在入手も困難な部品になりつつあります。そのためキットで使われる確率は無いでしょう。
★★★ トランジスタ編  チョット知ったかコラム  ★★★
トランジスタの歴史  トランジスタの歴史
■ トランジスタの歴史!! ■
 トランジスタは、1948年(昭和23年)にアメリカにあるベル電話研究所のW.ショックレー,J.バーディーン,W.ブラッテンの3人の物理学者が発明しました。もちろん世界を変える発明でしたので、この3人はノーベル賞を受賞しました。もともとショックレーが真空管の代わりになる物を探そうと結晶を使い増幅作用のある物を作ろうと思いましたが簡単に成功はしなかったようです。そこにバーディーンとブラッテンが加わり2本の針に電圧をかけて調べてるとベースの電圧の変化で2本の針にも電流が変化することを発見したそうです。
 これでやっと半導体であるトランジスタが誕生しました。昔は真空管(三極管)がトランジスタと似ていますが、真空管はヒーターがあるため熱くて、電気食い虫で装置全体が大がかりになる問題点がありましたが、このトランジスタの誕生で飛躍的に低消費、小型化が進みました。しかし最初はゲルマニウムに針先を接触させる点接触型トランジスタで衝撃に弱く、また熱にもかなり弱いため弱点ばかりでしたが、その後ショックレーがその弱点を改善して接合型トランジスタが誕生したそうです。
■ 半導体の足と型番 ■
 トランジスタは普通3本足でベース(B)、コレクタ(C)、エミッタ(E)の3本足でています。もともとトランジスタの生みの親である3人がゲルマニウムを土台(ベース)にしてその上に2本の針を立て実験していたため、その由来で土台である部分をベースと名付けられ残りの針が「集める」と言う意味でコレクタとなり、もう一方は「放す」と言う意味でエミッタと名付けられたようです。
 トランジスタは3本足ですが型番などで足の位置や形状が全然違います。標準的な物としては黒色のプラスチック・モールド製で半円柱形で平らな部分に型番が書いてあります。詳しくは「半導体の型番」を見てね!
半導体は何  半導体って何だろう?
 半導体はなに? ■
 よく半導体と耳にしますが一体なんでしょう。半導体の仲間はダイオード、トランジスタ、ICと幅が広く結構身近でも使われていますしキットでも必ず含まれています。
 半導体は英語で「semiconductor(セミコンダクタ)」と言います、企業名でも良く聞きますね。電気を良く通すものは導体と言い金属で銅線が身近な物ですが逆に電気の通さないものは絶縁体と言いビニールなどのプラスチックが身近です。と言うことはその間のものが半導体となりますが半導体と言うと抵抗でも良いようですが抵抗は半導体になりません。
 実は半導体は原子番号がからみシリコン・ゲルマニウムのことを指すようです。実際にトランジスタはテスターで抵抗を確認することが出来ますので抵抗と同じですがトランジスタに電圧がかかると話が変わってきます。ベースに電圧を加えないとコレクタ・エミッタには電流が流れず「OFF」の状態で、ベースに電圧を加えると、なんとコレクタ・エミッタ間に電流が流れ出すと面白い動作をするのが半導体です。
● P型、N型
 ダイオードもP型とN型を合わせてできています。もちろんトランジスタも「P・N・P」と「N・P・N」の2通りの合わせ方で出来ていますが、このP型とN型はどのようにして出来ているのでしょうか?
 実は最初は同じシリコンで作ります、このシリコンは原子記号を「Si(シリコン)」と表現しますが、このシリコンを99.99999999%(テン・ナインと言うよ)の素晴らしい純度で生成します。これが真性半導体と言いすごい純粋なシリコンです、とうてい昔はこの純度の生成が出来なかったようですが・・・
この真性半導体はまだP型にもN型にもなっていませんが、どのようにしてNとPになるのでしょう。そうですいったんすごい純度のシリコン(真性半導体)を作りそれにわざと不純物を入れることでできます。
 ▲P型シリコンは、純シリコンにホウ素(B)やインジユム(In)を微量いれることでできる。
 ▲N型シリコンは、純シリコンにヒ素(As)を微量入れることでできる。
● 原子レベルのお話
 シリコン(原子記号Si)は電子の手が4本有り通常電子の手が8本で安定します。つまり純度の高いシリコンはお互いの手を2本づつ利用して手を分け合って正方形の安定した結合(共有結合と言います)になります。ところが、そこにごく微量のホウ素(B)を加えるともう大変な事になります。ホウ素は手が3本ですのでシリコンの4本から見ると1本足りません。さあどうしましょう・・・そうです、この1本足りない手が自由に動く電子の孔(正孔と言う)ができ正(positive)であるP型が誕生します。
 N型は上記の逆で今度はヒ素(As)を微量加えますが、ヒ素の手は5本ありますので今度は1本手が余ります、と言うことは電子が1個あまりこれまた自由に移動できますので負(negative)の電荷を持つ電子となりN型が誕生します。
 きっとわからないかも知れませんが、こんな感じと言うことで参考になればと思いました。
真空管とトランジスタ  真空管 vs トランジスタ どっちが強い
■ 真空管vsトランジスタ ■
 真空管とトランジスタでは圧勝の差でトランジスタが天下をとり今では真空管自体を見るのが珍しいくらいになりました。トランジスタは真空管の欠点を改善し低消費電力、小型化が進み現在ではICに変わってきています、もちろんキット自体もどんどんICを使った物に変わりつつあり今度はトランジスタも危ない状態です。寂しいですね!
 ただ現在、真空管の価値観も変わりいまだに製造している企業があるくらい真空管の需要も少しではあるが増えてきました。でも一般的な真空管だけですがこれだけでも喜ばしいことです。現在キットでも真空管アンプなどあり作りことも出来ます興味のある方はぜ作ってみて下さい。
●一覧表 真空管とトランジスタの長所・短所を上げてみました参考にして下さい。
●注意  この比較は、かなり大ざっぱで感覚的な部分もありますが気にしないで下さい。
比較項目 真空管 トランジスタ
ヒータ 必要 ヒータ電源も必要 不要 当然ヒータ電源はいらない
本体の材質 ガラス 当然壊れやすい、金属もあったが特殊 モールド 当然落としたぐらいでは壊れない、昔は金属もあった
発熱 有り ヒータがあるため発熱する 有り ヒータがないが損出があり熱となる
消費電力 消費電力な大部分が熱、テレビで300W 損失があっても出る熱量は少ない、テレビで60W
電源 ヒータ電源の他に高圧電源が必要 1.5V〜24V位の低電圧で可能(高電圧も可)
外観 大きい かなり大きい物が必要 小さい かなり小型化で軽量が可能
寿命 短い ヒータが切れるのどで寿命がある 長い 無理な設計でない限り半永久的
ハム音 有り 電源リップル(高圧のため安定化が大変)やヒータなどの原因でハム音がでる 無い かなり無いに近い、ただし電源回路などで変わる。(電圧が低いので安定化電源も簡単)
音色 ソフト やはり真空管アンプの方がソフトで柔らかい音質、見た目も暖かそうです。 ハード アンプでは音の再現性では良いが真空管とは違う、FETアンプは真空管に近いそうです。
■ 石と球? ■
  トランジスタにはニックネームがあります昔は真空管を「球」と言いトランジスタは「石」と言われます。おそらく原料(シリコン)が地球上の岩石の中にたくさん含まれている、このように呼ばれたのでしょうか。
 ラジオで真空管の場合「5球スーパーラジオ」と言われていましたが、これは5本の真空管を使っていると言うことです。またトランジスタの場合は「5石スーパーラジオ」と言われ5個のトランジスタを使っていると言う意味です。この5球とか5石が多くなれば特性や機能が良くなるイメージがありカタログにもこの情報が書いてありました。また真空管からトランジスタの変わり目では、トランジスタが高級品であるかのようにトランジスタで出来ていることを強調するため本体に「Solid State」と書いた銘板がついていました。
 懐かしいお話です。でも現在もDOS/V機では「Celeron」やら「Pentium4」やら似たような銘板を張りまっくっていますね、いつになっても同じでしょうかね!
 
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